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2013.10.02

カヌースラロームコース水量考察

2020年オリンピック東京大会で葛西臨海公園にカヌースラローム競技場を建設しようとしている問題点で、環境破壊につながる要因で最も重要な要素は汽水域環境を損ねる恐れがあることである。

なぜなら、カヌースラローム競技場で用いる水量は、秒間13立方メートルを超えるからである。競技には淡水が用いられるが、この水量が一気に汽水域に流れ込むとしたら、周囲の干潟の汽水域の水質バランスが崩れてしまうのである。

これに対して東京都は淡水を循環して用いるとしているが、永遠に同じ淡水を循環させる訳がなく、排水がゼロであるはずがない。またそもそもそれだけの水量をどのように調達する問題もあるが、淡水を循環して用いる場合、ろ過や衛生的な配慮で薬品を用いる必要があり、排水された場合には、やはり少量でも汽水域に少なからず悪影響が考えられるのである。

一方、カヌースラロームで用いる水量を過小評価している方々もいらっしゃるので、カヌースラロームで用いる水量を考察してみた。以下、参照していただきたい。

まず、カヌースラローム競技で用いるボートの大きさであるが、最小長さ:3.5m、最小幅:0.6mである。またパドルの長さは競技則で規定はないが、約2.2mほどのようである。

Photo_7


その大きさから競技のイメージは図の様になる。水面からちょうど座高分が出ているような状況となることはなんとなくお判りになるであろう。考察しなければならないのはここからですが、カヌースラローム競技は、国際カヌー連盟/カヌースラローム競技ルール 2009によると、理想的なコースは、「絶え間なく方向を変え、沸き上がる動きのある(エディ、ウエイブ、早い瀬など)技術的難度を伴う流れであること。」としているのである。

Photo_8

また、Wikipediaによると、「船体をわざと傾けたり半分沈めたりして回転性能や運動性能を上げ、急流や荒瀬を横断しながらゲートを通過するという、3 次元的な操作を必要とする」スポーツであるそうだ。

そういった内容を加味して、コースの断面を考察すると、下記の様な断面となる。

Photo_4

断面からカヌースラローム競技において最低必要な流水量は、(コース最低幅)×(コース最低深さ)×(流速)より求められることから
最低流水量
= 5.5m × 1.2m × 2m/秒
= 13.2 ㎥/秒
となり、つまり最低秒間13立法メートルもの水量が必要なのである。

実際に、北京オリンピックやロンドンオリンピックでも人工的にカヌースラローム競技場が建設されているが、流水量を秒間10~16立法メートルとしているそうだ。

10~16立法メートルとう量は10トンダンプで約1.5杯分であり、それが1秒間に注がれる水量ですので、相当な量である。もう少しイメージしやすくすると、小中学校にある25m×10mのプールが、約20数秒ほどで溢れるほどの水量を最低用いるということになる。循環するにしてもそれをポンプアップする量もたいへんなエネルギーになることが明確である。

葛西臨海公園でのカヌースラローム競技場建設問題では、人工的に造られた公園であるから人工的なモノを造る点でそんなに環境破壊につながる問題はないだろうと安易に語る方がいらっしゃいますが、この水量を再現するための構造や管理運営、排水処理を考えると周囲の干潟の汽水域を破壊してしまう恐れが多分にあることを理解していただきたい。競技場建設のエリアのみを議論にした環境評価は視野が狭いと判断である。

葛西臨海公園・海浜公園周辺には汽水域である干潟が育むひとつの生態系ができあがっていることが知られている。人工的に造られたにも関わらず、そういった環境が四半世紀かけて出来上がってきているのである。

数百万人が住む都市で干潟をもつ都市は数少なく、さらには都市の中心地からごく近く、市民が水辺で気軽に楽しめる空間を持つのは、おそらく東京だけではないだろうか?

是非、自然と都市が共存する汽水域の干潟の希少性を理解していただき、それを壊してしまう可能性の高いカヌースラローム競技場建設に対しての問題点を共通認識としていただけたらと切に思うのである。
 

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