June 14, 2009

人型ロボットの“こころ”

映画『ターミネーター4』を観てきました。SF映画は基本的に好きで、近未来ものは特に見逃したくない映画ジャンルのひとつです。
今回の作品は単純なエンターテイメント映画というよりも“人間とロボットの違い”のテーマを色濃く出したコンセプトのはっきりしたSF映画に仕上がっていました。
特に前半と後半とでに“人間とロボットの違い”をコメントしているセリフがありますが、後半のセルフには少しグッときてしまいます。
マーカス・ライトの体が半分人間で半分がターミネーターという設定で、プログラミングされた制約の中で彼自身がどの様に行動するのかが映画の見どころだったのではないでしょうか。

人間と同様の姿のロボット。しかしながらその意志と気持ちは今回限りなく人間に近いロボットでした。プログラミングされたミッションを遂げる為の頑丈な骨格と人間細胞の外郭を持つ最新型ターミネーターとして作られましたが、そのミッションを終えた後、様々な情報からマーカス・ライトは人間としての想いを強く回帰させていきます。
人間らしく生きる意志が人一倍強かったマーカス・ライトの強い意志による決断は…。ラストのシーンでマーカス・ライトの意志がジョン・コナーに伝承される場面は2人ともカッコよく感動しました。強い意志はやはり伝達されるということでしょうか...。

“外殻(外観・骨格)と意志(想いや気持ち)”には強い相関関係があると思います。動植物の遺伝や進化にそれははっきりとあらわれています。生物学は私の専門ではありませんが、いろんな動植物を観たり知ったりするとそう実感してしまいます。特にきびしい環境下で育つ動植物や擬態の生態を持つ動植物をみるたびにそう確信してしまいます。

実は建築的にも当てはまると思います。クライアントが必要とする空間に強いコダワリ的な意志や想い・気持ちがある場合、空間を構成する外郭(外観・構造)にそれが明確に反映されます。また逆の場合もあります。建築(住宅)の仕様・グレードにあわせて、それを使用する(あるいは住む)人の空間の使い方やライフスタイルが変わる傾向があります。後者の場合は、もちろんメンテナンスが行き届いていないとその様になりませんが...。
ある意味「スケルトン&インフィル」の相関関係です。

建築業界でよく使われている「スケルトン&インフィル」は単純に構造と内装を明確に区分し、将来的にメンテナンスをし易くであったり内装部分の使い勝手を使い手の状況に応じて変えることをいいますが、“外殻(外観・構造)と意志(想いや気持ち)”の強い相関関係という観点で「スケルトン&インフィル」の因果関係は存在するのです。

ターミネーターの話からだいぶそれてしまいましたが、ジョン・コナー役のクリスチャン・ベール。彼の俳優魂も素晴らしいものです。2002年の映画「マシニスト」で不眠症の主人公トレバーを演じた時は何と体重を30キロまで減量、その後間もなく「バットマン・ビギンズ」では4か月で体重を100キロまでにしたそうです。そして今回のジョン・コナーの引き締まった精悍な体型…。
クリスチャン・ベール曰く、「俳優としてその役にハマるのを楽しんでいるのだ」といいます。これも「スケルトン&インフィル」の世界を感じます。その人物になりきった場合、私生活は一体どうなってしまうのでそしょう。

また人型ロボットという点では今話題がホットです。
先日、日本政府の宇宙基本計画で計画に盛り込んだ「2020年ごろに二足歩行(人間)型ロボットによる月面無人探査」の発表があり、その実現性についても疑問視する有識者たちからの意見があり、再検討されることになりました。賛成派は「日本ロボット技術の革新やアピール度」の点で、反対派は「月面での操作性やコスト」の点で論議が交わされている様子です。

月面捜査の主旨は「月の成り立ちを解明し、科学的利用や資源利用の可能性を探る」ことがまずの狙い。
ということは、二足歩行のロボットで作業性とコスト面をクリアできれば、世界トップクラスの日本ロボット技術で月面を二足歩行のロボットを歩かせるのも夢物語ではなくなってきている様子です。これはすごいことです…。少し前まではそれこそマンガやSF映画でしか考えられなかったことですので、そんなことが政府の技術開発方針として論議されているのですから…。

また映画でも、まもなく「トランスフォーマー/リベンジ」が公開されるのと、ハリウッドで完全CG化され「ATOM」となって今秋10月に公開されます。両者共に日本が原点の「人型ロボット」です。周知のように手塚治虫が生んだ元祖「人型ロボット」アトムが原点です。
やはり人型ロボットにはそのロボット形状以前にそれを動かすマインドがどの物語もスポットが当たりそうな気がします。どちらも公開がたのしみです。

訳もわからなく幼いころ、伝馬博士のつくったアトムに“心”をインプットしたお茶の水の技術力と人間力にあこがれ、学生時代にやっと念願叶えて直接手塚先生にお茶の水博士のマンガつきのサインを戴いたのを思い出しました。大切な自慢の我が家の家宝ですが、写真をついでにUPしておきます。

  

Teduka_sign


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December 24, 2005

「インフィル」再考(25)

医療施設で「免震構造」の有効性については、2004年10月に発生した新潟県中越地震で直撃を受けた小千谷総合病院の特別養護老人施設「水仙の家」で実証されています。唯一免震構造の建築物で震度6クラスの揺れを経験しています。一方で、そのすぐ近くにあったある家電産業の生産設備が大打撃を受けたこともよく知られています。

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December 21, 2005

インフィル再考(24)

構造計算偽造問題のコラムで途切れてしまいましたが、途中であった『スケルトン&インフィル』コラムをぼちぼち続けます。銀座と表参道のブランドショップの話題にうつっていて途切れてました…。

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November 17, 2005

「インフィル」再考(23)

現在、銀座と表参道は、日本を代表とする建築家達がブランドブティックショップ・ビルをこぞって設計し、建築ラッシュとなっています。ちょっとした「有名建築ストリート」は、街の活性化に一役買っていて、建築に携わる者として非常に嬉しい傾向です。

例えば、最近の建築を例にとると、銀座では、乾久美子/Dior、ピーター・マリーノ+アソシエイツ アーキテクト/CHANEL、青木淳/Louis Vuitton、レンゾ・ピアノ/HELLMES...。表参道でも、安藤忠雄/表参道ヒルズ、青木淳/Louis Vuitton 、妹島和世+西沢立衛/Dior、 伊東豊雄TOD'S、 隈研吾/ONE表参道、...、といった具合です。

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November 15, 2005

「インフィル」再考(22)

大分放りなげておいた「スケルトン&インフィル」に関するコラムです。

いろんな事例から感じる「スケルトン&インフィル」を紹介しているうちに、ちょっと止め処もなくなってしまっていたので、すこしおさらいをしておきます。

「インフィル」を変化させること、すなわち「模様替え」は、きわめて動物としての本能的な行動であることを説明する一方で、「模様替え」の話しから「ハウルの動く城」に発展してしまいました。ちょっと現実離れしたついでに「スペースシャトル」を題材にして、究極の「スケルトン&インフィル」であると解説しながら、「日産自動車」が経営戦略のひとるとして車内装を充実させていることを例に身近な話題に戻してきたところで中断していました。その続きです。

余談ですが、読み返してみると、最初のこの「スケルトン&インフィル」のコラムに書き始めは「である調」でしたが、いつの間にか「です・ます調」に変わってしまっています。ちょっと恥ずかしいですね。(笑)いずれ再校し、読みやすくしておきたいと思います。あしからず...。

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June 03, 2005

「インフィル」再考(21)

自動車業界のみでなく経済界全体でもひとり勝ちと驀進しているトヨタ自動車は注目の的ですが、自動車の内装で注目したいのは、日産自動車の動きです。もうすっかりTVコマーシャルでも、お馴染みですが、レイ・イームス、アルネ・ヤコブセンらのデザインした名作椅子を紹介しながら、日産自動車の内装インテリアの高品質を売り込んでいるのは周知でしょう。

実際にショウルームに出向いてみても、シートなどは従来の機能性を確保しながらも、同時にその材質、縫製、肌触り、質感は高級家具そのものです。一般に、高級家具のみを購入しようとすると、その価格の高額さに驚きますが、車体とのあわせたその値段を考えると、実に格安感であり、そのアピールに力が入る気持ちがわかります。日産自動車のホームページでは、身近にインテリア専用のWEBサイトも用意し人気を得ています。実感として、そのセンスの良さを知ることができます。

ところで、考えてみると車の内装を大切にするセンスのいいヒトは、自分の家のインテリアにも気を使っているヒトの様な気がします。少なくとも私の知る身近な人達は、そうです。車の中が絶えず汚れていたり、手入れができていないヒトの部屋は同じように片付けが悪く汚れています。一方、手入れの行き届いた車の持ち主の部屋は、インテリアも含めてキチンとしている傾向にあります。

考えてみれば、部屋を整えインテリアをそろえたりしているヒトは年収もあるレベルよりも上でしょうし、個性的なこだわりを持つヒトが多いでしょうから、車を購入する場合いくつかのオプションをつけて購入することが多いかも知れません。センスのいい顧客層に的を絞った経営戦略は、やはりカルロス・ゴーン社長の戦略のひとつなのでしょうか。
(つづく)

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June 02, 2005

「インフィル」再考(20)

「ハウルの動く城」の話からスペースシャトルへ話が転じて、極端な「スケルトン&インフィル」の事例になってしまいました。でも、動く居住空間とそこにいるヒトの意思や使命感が共鳴しあったとき、それはものすごいパワーや貴重な無形財産を受け入れることができるような気がします。それは、何も究極の乗り物でなくてもそのような実例はたくさんあります。

旅をするときに、ちょっといい席を確保したいと思う気持ちは、そんなことから沸き起こるのではないでしょうか。そうした旅行は、キャッシュカードのCMではありませんが、プライスレスな何かをきっと獲得するような気がします。先に紹介した様に、新型ロマンスカーVSEが好評であったり、JRのトワイライトエクスプレスが常にすぐに座席が満席となる人気ぶりが継続していたり、船旅でも高価な客室に人気があるのは、そのせいでしょう。

しかし、電車や船の場合は残念ながら模様替えはできません。強いていえば、電車で進行方向の並んだいすを回転させ4席を向かい合わせにさせる程度です。自分なりの心地よい空間は、なかなか得ることができません。「スケルトン&インフィル」を実現させる乗り物は?というと、意外にも身近に自動車であることに気づきます。最近の自動車は、多様なオプションインテリアを選べる、動く空間のいい例です。
(つづく)

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June 01, 2005

「インフィル」再考(19)

一方、「宇宙からの贈りもの」の書中に毛利衛氏は、スペースラブで実験をくり返すなか、顕微鏡で見める細胞と窓から見る美しい地球とが同じように見えた感覚から、生命体としての自己認識をされたと表現されています。そう感じた瞬間、きっと自己も含めて宇宙空間そのものが一体と感じられたのではないでしょうか。

この感覚は「禅」の“無”の感覚と似ているのではないかと私は思います。いずれこの「スケルトン&インフィル」のコラムで、「禅」についても今後少し記述しようと考えていますので、そのときにまた、この話しを持ち出すことにしたいと思います。

いずれにしても、壮大な宇宙空間で孤独に行われるスペースシャトルの業績に、その高度な任務を背負う宇宙飛行士の大変さを痛感します。宇宙飛行士の身体的能力と精神力の強さにはかり知れないものを感じます。「宇宙からの贈りもの」でも数々の高度な訓練を長い時間をかけて受けて宇宙飛行士となる様子が紹介されています。

宇宙飛行士としてミッションを実践するために、身体能力と精神力を鍛えている様子は、人間自身の身体と精神が「スケルトン&インフィル」であるとことを巧みに制御しているようにうかがえます。でも、数々の訓練に耐えうる精神は、子供のころに描いた“宇宙飛行士になりたい!”という熱いあこがれの想いが起動力になっていることも事実です。

強い想いに支えられて、究極に鍛え上げられたバランスのとれた宇宙飛行士の身体能力と精神力に人類の将来の宇宙空間に対する夢と希望をあずけているといっても過言ではないでしょう。スペースシャトルは、究極の「スケルトン&インフィル」を搭載した「人類の動く城」といえるでしょう。
(つづく)

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May 31, 2005

「インフィル」再考(18)

では実際に、スペースシャトルの「インフィル」な空間はどのようなものなのでしょう。「宇宙からの贈りもの」では、宇宙でのスペースシャトルでの生活を、宇宙科学について専門の知識がないわたし達に興味深く、しかもわかりやすく毛利衛氏が紹介しています。宇宙生活では、液体の取り扱いが容易でないこと、納豆が危険物扱いになってしまうこと、テーブルマナーや衣類について、マジックテープが大活躍すること、排泄の仕方などを、なるほど…と頷きながら楽しく読むことができます。

しかし、スペースシャトルの中のユニークな生活ですが、その裏腹は、生命体を維持するための精一杯の生活の作法であるのです。気軽に一歩外へと言うわけに行きませんが、スペースシャトルの外壁のすぐ外は地球上の生物がまったく生存不能な空間なのです。すべての人工物で囲まれた環境での生活空間であり、そこで実施されるミッションは、人類や生物の神秘を解き明かす為の実験にあたるものです。

スペースシャトルのオービタといわれる部分で仕事場となっているのがアッパーデッキ、生活空間となっているのがミッドデッキといわれる空間だそうですが、ミッッションによりアッパーデッキのスペースラブ(宇宙実験室)は組み換えられるわけですから、未来の宇宙空間に夢と希望を抱く人類の為の「インフィル」です。

また、そんなスペースシャトルの「スケルトン」機能は、未来の宇宙空間に夢と希望を抱く人類にとっての夢と希望を守る重大な「シェル」的な役目をしているといえるでしょう。まさに、これぞ現在における究極の「スケルトン&インフィル」です。
(つづく)

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May 30, 2005

「インフィル」再考(17)

気ままに綴る「スケルトン&インフィル」のコラムの続きです。
「ハウルの動く城」の建築物は実在しないので少し現実離れした話でしたが、ついでに実際の生活空間ともう少し現実離れした「スケルトン&インフィル」のネタを持ち出しましょう。壮大な人類の夢をのせて過酷な環境下で動く居住空間があります。また、その空間は目的によって模様替えも可能としています。おわかりでしょうが、スペースシャトルの内部空間の話です。

そのスペースシャトルの内部空間の様子と実際の宇宙空間でのライフスタイルを、宇宙飛行士として2度の宇宙体験を持つ毛利衛の著書である「宇宙からの贈りもの」で紹介されています。その著書から「スケルトン&インフィル」に関する一部を紹介いたします。

スペースシャトルの内部は、コックピットのある広さ4畳半程度のアッパーデッキと寝食をする6畳程度のミッドデッキと呼ばれる部屋からなっていて、ミッションに応じてスペースラブやスペースハブと呼ばれる実験室が貨物室に設置されるそうです。宇宙空間は当然空気のない真空の世界ですし、承知のとおり無重力空間です。また、様々な宇宙放射線が飛び交っています。宇宙空間の温度も、太陽光があたらなければ、氷点下数百度まで下がりますし、音のない世界です。

その過酷な環境の宇宙空間と区分する、スペースシャトル本体とそれを操縦するための機能やコックピットは、「スケルトン」にあたり、その他のミッションが行われるスペースラブやスペースハブは変更可能な模様替えのできる「インフィル」空間と言えます。外部の環境ではヒトは生存不可能ですし、現在繰り返し利用できる実在する乗り物のなかでは最速の乗り物です。それを踏まえるとスペースシャトルは究極の「スケルトン」機能をもった外郭です。

一方、スペースラブやスペースハブも、地球の物質的な限界という現実から人類の宇宙空間に対する将来の夢や希望を背負い、その確証ためのミッション毎にその形体を変える空間を備えるわけですから、究極の目的をもった「インフィル」機能言えるのではないでしょうか。
(つづく)

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