September 20, 2009

アイ・ウェイウェイ展から感じる中国人パワー

森美術館に開催している話題の「アイ・ウェイウェイ展~何に因って?」展に観にいってきました。
アイ・ウェイウェイ氏は、昨年行われた北京オリンピックのメイン会場:「鳥の巣」(北京国家体育場)の建設の際、スイスの建築家ユニット:ヘルツォーク&ド・ムーロンと共同で制作を行った方で、社会派的な美術家です。
彼の作品の写真撮影が条件の範囲内で可能となっていますので、様々なブログ等ですでに相当数が紹介されていますが、ここではアート作品の写真掲載は避けておきます。

私的にたいへん興味をひいたのは、彼の哲学的な思想の作品よりも、展示会のエントランスの床と壁にたくさん「鳥の巣」の建設中の写真です。
開催前にかなりの突貫工事で施工していたはずであるのにも関わらず、妙に人が写っていない無機質的に写真として納められています。

またそれらの写真からは「鳥の巣」のひとつひとつの大きな複雑な躯体PC梁をダイナミックに組み立てていく施工中の様子が確認できます。
一定の間隔で大きく「鳥の巣」のコア躯体となる部分をまずつくり、その間をPCでつないでいく順序で施工されていったのがわかりました。

複雑な「巣」の構造を大きな支保工によっていくつもささえられている様子が、そのダイナミックな建築を物語っています。
当時の建築関係者たちは、躯体がすべて繋がりこの支保工を取り外す瞬間は誰しもゾクゾクっと感動したことでしょう…。

一方、躯体ユニットを繋ぐ途中の段階で、建設中の「鳥の巣」の前で大量に躯体を壊している様子の写真もあるのですが、もしかしたら複雑な形状だけにPC躯体が合わなかった?ってことはないでしょうね…。余計な心配ですが...。
ともあれ親切な説明のない「鳥の巣」の施工中の写真から、最も中国人のモノづくりと発想力のパワーを感じてしまいました。

基本的には「鳥の巣」はヘルツォーク&ド・ムーロンの作品で、様々な建築家や芸術家の方々がその建設に携わっており、その一人がアイ・ウェイウェイ氏という位置づけが私の解釈であり、「鳥の巣」の施工中の写真は彼の作品ではないと思いますが、念のため展示会のルール通りクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの表示をしておきます。

88x31作家:アイ・ウェイウェイ
以下の写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本」ライセンスでライセンスされています。

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January 07, 2008

北斎パワー圧巻...

Hokusai_ten_2まだお正月気分が抜けず、日本的な文化に触れたくて現在江戸東京博物館で開催している『北斎展』の特別展示の数々を拝見してきました。

冨嶽三十六景等で知られる江戸時代の絵師ですが、その多くは版画でしられていますが、今回の特別展示では肉筆画を間近で観ることができるのが大きな特徴です。

版画とは違った深みのある色のグラデーションのつけ方や鮮やかな原色を用いた肉筆画は、弟子たちが描いたものとその技量と絵心の深さの違いを比較してみることができ大変興味をひきました。

江戸時代ですから当然写真等のメディアのない時代に、こんなにも音が聞こえてきそうな風景描写や動きのある風俗描写を筆にてできるものだと、ただただ感動…。なんと言っても北斎の場合は、遠近感を前面に出した構図のとりかたが天才的というか、神業的に感じます。

冨嶽三十六景の駿河湾の大波の狭間から見える富士山を描いた『神奈川沖浪裏』は、誰しもが知るその代表的な構図です。他にも冨嶽三十六景には意外な空間から見える優美な富士山を描いています。また、そのように描くことで江戸時代に働く人の姿や風俗・文化を浮き彫りにして表現していたのでしょう。

そんな冨嶽三十六景の中でも、建築と富士を対比的に描いている代表作『東都浅草本願寺』は私の大好きな作品です。近景に見えるおおきな屋根の勾配と遠景の富士山の優美なスカイライン、それに加え江戸の町の甍の上の空間に粋に浮かぶ凧が描く糸のラインとが見事に調和し、江戸の町の雰囲気がよく伝わってくるです。よくみると屋根の上で懸命に仕事をしている職人さんが描かれています。

Hokusai_manga_ten_2版画の一つ一つの作品は想像していた大きさよりも小さいものでしたが、観ていくうちにその作品の多さにも圧倒されてしまいました。ひとつひとつの作品で観る、繊細な線の引き方とその潔さ、色の変化やぼかしのつけ方の粋な技量は、写真や復刻版でみるのと全く異なります。

さらに驚かされたのは、北斎漫画を描いたのは55歳の時で、冨嶽三十六景をまとめたのが72歳の時であったと知ったことでした。老年期に自身を「画狂老人卍筆...」と名乗っていただけに、北斎の絵に対する熱いパワーを直に感じます。特に80歳を超えて描いた掛け軸の『雪中鷲図』は、北斎の全身全霊をかけて描かれた作品の様に感じ、呆然と立ち止まって見入ってしまいました。

デジタルツールの発達した今の時代、北斎の圧倒的なアナログ的パワーを見せ付けられ、現代において足らないものをおしえていただいた気が致しました。江戸文化が生んだ北斎、日本の誇りですね。

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