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May 12, 2014

新国立競技場/伊東豊雄案について

今夜、緊急シンポジウム「新国立競技場のもう1つの可能性」を拝聴してきました。目玉は建築家の伊東豊雄氏による「改修国立競技場提案」を公表するというもの。

内容は、私がかねてより案内してきたものコンセプトはほとんど一緒でした。

現在の国立競技場を一部解体せずに残して、陸上競技場を9コース確保した上で、スタジアムを拡張するという計画。エキスパンジョイントの話も出ていました。

私の案は、「神宮外苑と国立競技場を未来に手渡す会が主催する」共同代表の森まゆみさん達に今年の1月15日にメールで案内していました。また私自身は建築技術者ですので、その裏付けを確認するために独自で現地を取材し、整理してまとめたものをブログで3月31日に情報公開しています。さらには、本日のシンポジウムで登壇されていた森山高至氏がブログを4月20日にtwitterでリツィートしています。

リツウィートのURLはこちら(↓)
http://bit.ly/1qw4hLr


一方、伊東豊雄氏の案では根本的に、①開閉屋根が無い点と②既存スタジアムを残すエリアが3分の2ほどある点③ザハ・ハディドのデザインを全く踏襲していない点、が特徴である。
独自性があるようで、実は現実の条件をと比較すると乖離しており、非現実的ともいえる。

その理由としては、
①開閉屋根が無い点では、その有無については議論が必要であるが、少なくとも観客席全域には屋根が必要と考えている点で大きく異なっている。国際的な競技を行うスタジアムのバックストレートで屋根が無い施設は時代遅れではないだろうか。。
②既存エリアを残すエリアが3分の2ほどある点では、実際には非現実的である。陸上競技のコースを面積的に9コース確保するだけではNGであり、アスリートが安全に競技できるように余裕のアスリートはアスリート同士が接触したり、勢い余ってコースアウトすることは多々あるからだ。
③デザイナー建築家としての意地があると思われるが、様々なプロセスとコンペを通じて決定された案である点を無下にしている。
と言えます。

競技場の改修については様々な実績事例があり、有能な技術者が集結すればもっと優秀な改修案ができるはずであるが、日本の建築業界の実情で発案側の設計者集団や建築家には真の技術者が不在傾向にあることが原因であると思われる。

いずれにしても根本的に本件にてついては、公共工事でありながら説明責任や市民とのコミュニケーションに乏しい点と建築業界において技術者達ががこの問題に無関心で真剣に考えておらず情報発信もしていない点が起因しており、根深いものだと考えている。
本日の登壇者たちが述べていたが、東日本大震災の復旧において無意味な巨大防波堤を築こうとしている現状とこの問題は大変似ている。

140512


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