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May 11, 2009

熱い想いと手入れの行き届いたモノは伝承される…

映画『グラン・トリノ』を観てきました。まさに現代版ウエスタン映画でした。

特にウェスタン映画を連想させるのは床屋でのシーンからラストにかけてのシーン。様々なウェスタン映画でも床屋のシーンがありますが、“グラン・トリノ”ではさながらクリント・イーストウッド演じる頑固老人ウォルトは意を決した決闘前のマカロニ・ウエスタンの様でした。
いつも気心知れていた床屋の親友にも散髪しかさせなかったのに何も語らず髭を剃らせたことで、そこには生と死に対しての決意が秘められていた気がします。

かたくなまでに自身の生き方を貫くウォルトの生き様は、クリント・イーストウッドが関わってきた映画で訴えてきた社会問題(戦争、犯罪、家族、人種差別…)を一気に再びフラッシュアップさせます。しかしながら現代社会で解決しえていない問題を一気に連想させる一方で、想いのこもった愛車“グラン・トリノ”が引き継がれラストで遠く街に消えていく様子は、若い世代に希望を託していることがわかります。
荒野に自分が育てた若いカウボーイがサラブレッドにのって走り去るように見えました。グッと考えさせられるところがイーストウッドらしく渋いです。

自身の仕事に誇りを持ち、携わった仕事の結晶である愛車“グラン・トリノ”を手入れするために数々の道具をガレージに揃え何年も大切にしてきたライフスタイルは、今の社会ではあまり見受けられなくなってしまっています…。
今の便利で楽なライフスタイルがよいのか悪いのかわかりませんが、車の購入意欲すらない現代の草食系男子にとっては道具にこだわり大切なモノをずっと手入れし続けるライフスタイルは、スマートでなく不器用な生き方なのかもしれません。

家の手伝いやメンテナンスについてもその傾向にあります。映画のストーリーの中でウォルトが少年に家の手入れの仕方を教える場面がありましたが、やはり現代社会が忘れかけているライフスタイルの一つでしょう。

思えば伝統ある名建築は当然そこに携わる人たちが想いをこめてメンテナンスを繰り返してきたからこそ今そこに存在しています。
また今、老舗旅館での仲居さん達の“おもてなし”が秘かに注目されていますが、それは直接宿泊客に対する接客態度そのものでなく、そこに行きつくまでの日々の陰なる老舗旅館への想いのこもった手入れのきめ細やかさが原点である点に注目しているのです。
日頃のそうした心をこめた手入れができていなければ、宿泊客の接客などはできる訳がないという老舗旅館の女将さんの考えが実はそこにあり、だからこそ老舗旅館にリピーターが健全に存在しているというのです。

不器用ながらでもキチンと気持ちをこめて家や建物の手入れをする。大事なことですよね。伝承させねばいけない建築文化です。

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