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February 23, 2008

直島小旅行(10)

直島での最後に訪れたのが安藤忠雄氏設計の「地中美術館」。
敷地内一切撮影禁止でしたので、お土産に買った絵葉書を添えて説明します。

以前紹介した移動式仮設美術館・ノマディック美術館とは全く対照的で、地中美術館では常設展のみの美術館です。

Chichu_artmuseum作品は、クロード・モネによる絵画4作品とウォルター・デ・マリアの大きな黒い花崗岩の球を空間に添えた作品。それにジェームス・タレルによる光を利用した3作品と安藤忠雄氏の建築作品:つまりはこの地中美術館そのものです。

作品数としては、全部で9作品ですので世界で最も展示数の少ない美術館でもあるのではないでしょうか?でもどれもがそれぞれが大変インパクトのある作品ですので見応えがあります。

展示されているクロード・モネの絵画は有名な睡蓮を題材にした油絵ですが、モザイクに敷かれた白大理石の床空間に飾られていました。その空間へは靴を脱いで入るのですが、凸凹した床の感触を感じながらゆっくりと歩いていく最中にモネの作品とバッタリ出会います。作品がフワァーと表れるような感じがしました。

自然光が採り入られていましたが、見る時間によって全くその表情を変えるらしいです。神秘的ですね。

ウォルター・デ・マリアの作品「タイム/タイムレス/ノー・タイム」 は、写真で知られるように見るからに神聖さを感じさせる作品でした。巨大な黒御影石の球が転がりだしそうなで緊張感のある空間にも思えますし、ずっしりと安定感もあるように感じさせる違和感は、五感を研ぎ澄ませる感じがしました。

意外だったのが作品のすぐ近くまで階段を昇っていって鑑賞できたことです。もちろん祭壇風の最上部まで昇っていけました。中の空間を見ているうちに、巨大な黒御影の球が入るような開口が無いことに気づきます。

いったいどこから搬入したのか不思議に思い学芸員の方に尋ねたら、美術館の施工途中に搬入したそうです。納得…。
また、この黒御影石、インド産でドイツで加工したそうです。一枚岩の大きな黒御影の石、ここまで本磨きに削られ据え置かれるまでに相当の国際的な行事を繰り返されてきた様子です。

ウォルター・デ・マリアの作品を祭壇風の最上段から見ると、あれれっ?黒御影の石が空間に対してシンメトリーに置かれていない様に見えました。目の錯覚だったのでしょうか…?

ジェームス・タレルの作品は光を巧みに利用した3作品です。壁の入り隅に光をあてた作品「アフラム、ペール・ブルー」、あたかも光の中に入っていける幻想を抱く作品「オープン・フィールド」、自然の青空を作品にしている「オープン・スカイ」です。

鑑賞はこの順序で観るのをお勧めします。というのは、刻一刻と変化する現実の自然光のすばらしさを感じるからです。少し大げさですが、地球に生まれてよかった…みたいな感覚が自然に体のどこかしらから感じるからです。

トレミングした直島の空がホントに美しいのです。その空間にある雲が自分の為にそこにあるような気もしてきて…。ジェームス・タレルは、きっとその様に鑑賞するひとが感じることが狙いだったのではないでしょうか?

また「オープン・スカイ」は金曜日と土曜日にナイトプログラム鑑賞が予約制でできるようになっています。時間がある時に鑑賞してみたいものです。

そして、「地中美術館」は安藤氏の作品のなかでも地下を大胆に使用した作品です。地下の空間造りの自由度を知りこれを機に表参道ヒルズや21_21DESIGN SIGHTへと変遷を経ている様に感じました。

作品を創る過程で苦労されたと思われるのが、打ち放しコンクリートの打設。ボリュームのある大きな壁は、若干のコールドジョイントはあるものの打ち継ぎをほとんど見せなく仕上げているディテールは見応えがあります。
Chichu_artmuseum00きっとカーフェリーを多分に利用し何台もの生コン車を載せ、時間との戦いで一気に作り上げた様子がコンクリート打ち放しの肌でわかります。安藤建築の醍醐味を瀬戸内海の島で実現させるため、工事関係者たちの真剣さと熱い想いが伝わってくる作品です。

絵葉書で見る写真は美しいですが、実際にはつるつるのパネコートで綺麗過ぎるぐらいに仕上げた都会で見るコンクリート打ち放しより男性的なテクスチャーであり、大勢の人が協力して築いた建築である証拠(コト)を感じさせます。

どんよりとした低い雲のある天候でしたが、館内の地中カフェで冷たいビールを飲み一休みしている間に、不思議と地中美術館に来て青空が出てきました。シャープな壁が見事に浮き上がる空間を拝見できました。安藤建築のコンクリート打ち放しの壁には青空がよく似合いますので、すごく得した気分となりました。

いずれの作品共、光と影とのつながりが大変深いテーマとして扱っている気がしました。振りかえれば「家プロジェクト」もそうでしたので、直島全体が“光と影”を演出する建築空間をテーマにしているようにも感じました。直島の歴史文化の名残を感じさせながらも、いろいろな場所で新鋭的な建築空間を楽しむことができました。

10回にわけて紹介しちょっと長くなってしまいましたが、日帰り旅行の直島小旅行報告でした。

【直島観光参考WEB】
素顔の直島(直島町観光協会)
直島町ホームページ
ベネッセアートサイト直島
地中美術館

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