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December 06, 2005

構造計算書偽造問題について(6)

では、施工時点で今回の様な構造計算偽造に気づき、回避できなかったものなのでしょうか?施工段階での問題点についてコメントします。今回の事件の原因は、端的に2つに絞られると思います。ひとつは、施工会社に「気づく力」=技術力がない場合であるか、あるいは今回の事件にからみ「悪意者」であった場合です。

どの建物にどの程度の偽造を行っていたか具体的仕様が明確ではない為わかりませんが、ある報道によると極端に柱の主筋の数が不足している事例や柱断面そのものが小さい事例があげられていました。構造計算の結果の断面と異なる地中梁の断面や主筋の数である建物もあった様子です。

こんな構造仕様の場合、やはり施工者側は一般的な仕様に比べ、著しく貧弱なわけですから、建築技術者としては気づくはずです。気づかない場合もあるかも知れませんが、残念ながらそれは技術力があるとはいえませんね。安心して施工を任されない程度の施工会社には、施工可能とする建物の規模を制限すべきだと感じます。

一般的に民間工事の工事請負契約には「民間連合協定工事請負契約約款(旧四会連合協定約款)」が用いられますが、その16条の内容に「設計図書への疑義申し立て」に関する事項があります。その内容は、要するに、施工者が技術的におかしいと気づいた設計図書の内容については、文書で疑義申し立ての確認を行う必要があることが書かれています。

本来、施工会社(いわゆるゼネコン)は、設計図書どおりに建築物を施工すれば、契約上問題ないわけです。しかし、「建築」そのものが経験学的産業であり、実際多くのことを経験から学び発展してきた業界ですので、実践経験の豊富な施工会社の技術的見解において、設計図書に不足等の疑義がある場合、キチンとフォローを行うような仕組みになっている訳です。

時折、設計事務所の「先生」がこの申し立てに対して、プライドを侵害されたとする間違ったヤカラ達もいますが、それは大きな間違いで「よい建築物を構築する」ためのひとつの定められたルールなのです。ですから、報道されているような、一般に一目見てオカシイゾと気づくような構造設計であれば、そのルールに沿って施工会社は設計者や発注者に疑義申し立てを行う必要もがある訳です。

当然、設計図書に疑義が確認されれば、設計変更という形で見直しがされ、発注者のコスト負担で適正に建物が施工されることになります。発注者と設計者との間に信頼関係とコスト折衝の問題は残りますが、建設される建物そのものは、適切なものが施工される結果となります。

今回の事件では、発注者:ヒューザーと施工会社:木村建設等の契約約款として「民間連合協定工事請負契約約款」が使用されているか再確認する必要がありますが、施工中に設計図書について疑義をはじめ、質疑応答をおこなうのは、一般的に建築業界では慣例化した業務フローです。

なぜ、この慣例化したこと(設計図書への疑義・質疑)を木村建設ができなかったのか?も大きな論点となるでしょうし、再発防止への布石にもなると思います。技術力のない会社であるか、あるいはそれができない背景や理由があるか。いずれにしても、川上に「悪意者」がいる以上、どちらの場合も対策を立て仕組みを整備する必要があります。

しかしこれには、関連するいろんな問題(倫理、経済、政治等)があり、仕組みづくりは、かなり難航するでしょう。多くの専門家の知恵を必要と感じます。
(つづく)

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