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December 05, 2005

構造計算書偽造問題について(5)

設計段階の大きな問題点として、もうひとつに民間委託された建築確認申請業務が機能していない点があげられます。地方行政の建築確認業務が実務的にオーバーワークしているため、実務的にそれを補うために民間に移行してできた制度ですが、チェック機能そのものが機能していないのであれば、問題外です。

今回の事件で建築確認業務を代行したのは民間検査機関「イーホームズ」であることは周知の通りです。具体的には、姉歯氏が作成した国土交通相認定の電算プログラムを使用した構造計算等の確認申請書面に、本来添付するはずの国交相印入りの認定書がなく、その場合は、検査機関が構造計算の内容について詳細に確認する決まりになっているのにも関わらず、イーホームズが実施していなかったことである点が報道されています。

どうして、約束事であるチェック作業がされなかったのかを徹底的に原因究明することがポイントであり、チェックの業務フローを見直し仕組みを変えることが再発防止につながります。検査そのもののありかたそのものを見直す必要性があるかもしれません。

イーホームズは、自社の検査の適合性について、いろんな場面でいろんな言い訳をいていますが、チェック機関の機能が働いていない事実を真摯に受け止め、自社の過ちを素直に認めるべきです。事件発覚当時に、姉歯氏自身も「検査機関のチェックが甘かった」と話しており、検査機関の不備について発言しています。

そもそも不正の構造計算書を作成するのは問題ですが、本来、確認申請時点で民間検査機関がきちんと機能してさえすれば、この問題は起きなかったはずです。その重大責任の重さを考えると、民事的な責任はかなり重くイーホームズにかかることと思います。

イーホームズの発言に多々意味深なものがありますが、チェック機能が果たされていない原因に万が一、発注者や政治的な圧力があった事実があれば、これもまた重大なことです。早期に監査し、徹底的に原因追求をおこなうべきでしょう。

発注者であるヒューザーの小嶋社長が裏で糸を引いていたかの事実は、現時点ではわかりません。小嶋社長のキャラクターが濃いだけに、マスコミや当該建物の住民等に吊し上げになっていますが、本当に善意者であれば、本人が発言している通り、全くの被害者であるかも知れません。

一方、検査機関は本来、行政の代行機関であるわけですから、検査機関の「検査機能」の確認業務を怠っていた行政側にも多大に責任があると思います。関わる民間企業に多くの発言を傍観し、当事者意識の低い行政側の態度は、いかがなものでしょうか?

公共の安全は、行政がリードして確保すべきです。当該建物の住民の移転先や引越しの資金について真剣に取り組む必要があるのではないでしょうか?税金が無駄に使われる議論もされていますが、現時点で困惑している住民の精神的な不安を配慮すると、本当に心配です。

税金が余計に使われる可能性はありますが、検査機関のチェック機能を怠っている行政の関係部署公務員の減給や経費削減にもメスをいれるといった思い切った行政の見直しも場合によっては必要です。

いずれにしても、検査機関が機能していない原因を追求することが大きな課題でしょう。
(つづく)

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