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September 02, 2005

建設業界の終わりなき品質トラブルに嘆き

日経アーキテクチャー(8-22)の特集として「止まらない品質トラブル」が掲載されている。いわゆる大型の看板工事にも品質トラブルが続出しているという。驚くべく事に公共工事の8%で手直しがされている統計データもある。この数値は一般の製造業でいえば専門業失格にあたる数値である。改めて建設業界の品質管理能力の低さを実感し、残念な気持である。

記事ではその背景として、ゼネコンの技術社員不足や専門業者の優秀な技能労働者不足が主としてあげられていた。確かにそういった実態はあることは否めないであろう。しかし、その根本的な原因のひとつに建設単価の圧縮があげられると感じます。建設工事は、工場の均一的な環境で生産活動をしているのではありません。その土地その場所ですべて特注のものを定められた時間の中で生産活動を行います。施工にあたっては、単純な過去の実勢単価だけで判断できない場合もあります。

労働環境条件によって歩掛りが異なるからです。また、何も労務的な歩掛りだけでなく、建材に代表されるコンクリートであっても四季によって、その品質の管理手法が異なります。にもかかわらず、過去の慣習にとらわれた見積もり手法を現在のコンピューター化された便利さだけを活用し、ゼネコンが単価の圧縮ばかりに走り、少ないパイの取り合いを行っていることが私は大きな原因だと実感しています。

また、設計者にもきちんとした技術者がいないことも大きな原因のひとつです。前にもこのブログで書きましたが、今の設計図で、建築・電気・衛生・機械すべてを配慮し細部まで描ききっている図は、まずないでしょう。適当に描いてゼネコンが受注すれば、あとはお任せ見たいな風潮が当り前のようになってしまっています。ある設計者は、ゼネコンが工事価格をダンピングするから設計費もそれに準じて下がる為、ダンピングしたゼネコンが総合図を描くのが当然だ、と平然と言う者もいます。本末転倒です。

設計者は設計の業務を確実にやりきる。ゼネコンもしかり、専門工事業者や職人もしかり。安かろうが、本来やるべきことをキチンとやってこそ、その報酬が受け取られ、いい仕事をすれば報酬が見直される仕組みが健全なのである。また、日本の建設業界のそういった非常識を、お金を支払う側の発注者は明確に知るべきなのかもしれません。そういう意味では今後、建設コンサルタントの需要が増えるような気が致します。

しかし、建設業界は全国で55万社を超えると言われていますから、一度できてしまった慣習を覆すのは並大抵のことでは困難であると思います。しかし、すこしづづそういった根拠のない不当な単価(材料、労働費共)の圧縮を避けるべく対策を見出していきたいものです。また、優秀な建設技術者が現場にいなくなり、目先の単価良いコンサルタントに流出してしまうのは、残念なことです。やはり、なんとかそういった事態を避けたいものです。

そのためには、優良建材のコスト透明性と保守や、優秀な技術者・技能労働者の単価保障が行われるべきだと痛感します。本来は行政が取り組むべき課題でしょうが、力あるゼネコンが根本的にこのような課題に本腰を入れないと、建設業界自体が改革できないままに、更なる少子超高齢化、国際化の時代を迎えることになるでしょう。スピード経営の時代にもかかわらず、悲惨な体質を背負ったままにしたくないですね。

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