« Sky of the Tokyo (上野) | Main | ◆建築家の稼ぎ »

May 18, 2005

◆ゼネコンの神髄と今後のゆくえ

一昨日の4月17日にNHKで放映されたプロジェクトXで、昭和38年に施工された「ホテルニューオータニ」の建築技術の紹介がありました。40階建てのホテルを、コンクリートの打設もポンプ車などない時代に、手押しの一輪者を用い構築し、短後期で完成させる様子は凄まじいの一言に尽きます。偉業ですね。携わった個々人の力量ははかり知れない苦労があったことでしょう。

ホテル上部の直径45mの巨大回転ラウンジ建設にも様々な人間ドラマがあったことに感動しました。大きなプロジェクトを短工期でまとめ上げるゼネコンの技術力と総合力は本当に頼もしく、パワーを感じます。

しかし、一方でふと振り返ると、素朴な疑問が浮かびあがってきます。番組の中で、着工時に設計図書がたったの1枚した無かったのにもかかわらず、施工を開始し完工させていった状況を紹介していた点です。確認申請はどのようにして取得したの?設計の立場は?監理者は?…と建設の為に必要なプロセス等をどのようにクリアしてきたが、不思議です。

設計不備でも現場の底力で何とか成し遂げてしまう。この姿こそが、まさに現在のゼネコンを築き上げたゼネコン体質の神髄がここで発揮された気がします。設計者、監理者の区別なく結果を導く牽引力は、良くも悪しくも現在でも建設業界構図の縮図を見るようです。

昨年のアテネオリンピックでは設計が間に合わない施設は、設計変更し間に合うプランに変更し完工させているのに対し、東京オリンピック時の「ホテルニューオータニ」の、何でも面倒なことはゼネコンの現場に頼ってしまえっ、何とかなるさ、という建設の仕方は、現在にも見られるゼネコン体質そのものであり、対象的です。

第2次大戦後の復興に全身でぶつかり結果を出す建築技術者たちのアナログ的行動力に頭が上がりません。しかし、余力のあったコスト時代とは異なり、現在では、現場で独自になかなか思い切った施工方法を考案することは難しくなっています。また、まして施工の失敗なんかは許されない時代となっている状況です。コスト厳しい時代の今日、難儀なことはゼネコンがすべて解決してくれるという、かつての「請け負う」ことによって技術が証明される体質やそういった努力がみとめられる美徳の時代は終焉させなければならないでしょう。

社会が国際的・グローバル化へ加速する状況を見据えると、設計図が完成していなくて建設工事の施工を進めるのは、やはりナンセンスです。着工前に問題点を建築家(設計者)は解決しておくことが原則であり、それができないのであればゼネコンはむしろ建築家から適宜技術コンサルフィーを受け取るのが正当でしょうし、設計者や監理者の立場を明確にし、その責務の範囲を識別できる業界づくりが、時流として求められています。

今、ゼネコンをはじめ、発注者、設計者、監理者の立場をみなおす岐路の時期に、建設業界は立たされているのではないでしょうか。

|

« Sky of the Tokyo (上野) | Main | ◆建築家の稼ぎ »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/53410/4187219

Listed below are links to weblogs that reference ◆ゼネコンの神髄と今後のゆくえ:

« Sky of the Tokyo (上野) | Main | ◆建築家の稼ぎ »