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May 04, 2005

「DOCOMOMO100選展」で省みる設計の真髄

残りわずか8日(日)までの開催であるが、松下電工汐留ミュージアムで催されている「文化遺産としてのモダニズム建築:DOCOMOMO100選展」を観てきました。

「DOCOMOMO」は、ぱっと見るとNTT関連?と勘違いしてしまいますが、近代建築を文化遺産としてとらえその意義を見直す機会を呼びかけている国際組織で、The Documentation and Conservation of building,sites and neighborhoods of the Modern Movement が正式名称です。1988年にオランダで設立された組織で、世界40カ国をこえる国や地域が参加指定しているそうです。今回はその日本版の厳選された100点の写真と貴重な模型や設計図の展示である。(参考:汐留ミュージアム発行のチラシより)

歴史の中で、その社会背景と格闘して洗練されて現実化されてきたモダニズム建築をできる限り、残していこうとする動きには大賛成です。

一方、拝観して非常に感動を受けたのが、やはり設計図。原図と思われるものが幾つか展示してあった。中でもいわゆる巨匠達の図面がすごい。何がすごいのかと言うと、描きこみがである。細部の仕様やディテールが細かく描かれていました。当時は、トレーシングペーパーに鉛筆書きが当たり前であるが、そのひとつひとつの線に対する各建築家の熱い想いとパワーが伝わってきます。

特に印象的であったのが、
□丹下健三:広島ピースセンター、東京カテドラル聖マリア大聖堂の断面図、国立代々木体育館のそれぞれの断面図(S=1/50)、
□清家清:森博士の家の一般図(S=1/200)、
□前川國男:神奈川県立図書館・音楽堂の矩計図(S=1/20)、
□菊竹清則:スカイハウスと東光園の矩計図(S=1/50)、
□吉村順三:NCRビルの矩計図(S=1/20)、
□黒川紀章:寒河江市庁舎の矩計図(S=1/20)
□ル・コルビジェ設計の国立西洋美術館の青図
などです。

どれもが構造断面も当然、図面スケールは小さいながらも仕上げの納まり仕様、曲線などの曲率も細かく描かれていました。また、巨匠達の直筆サインが図面に書き込まれている設計図もありました。吉村順三氏の設計図には照明器具や設備の配管までもが、また、黒川紀章氏の設計図は屋上のパラペットや金属屋根の端部を示しルーフドレインの断面まで丁寧に書き込んでいる断面図を覗うと、そのディテールに対する気持ちの入れ方や造りこみへのコダワリを感じられる。線の強弱や濃淡までも最も洗練されていたのも黒川紀章氏や前川國男氏のものであった。各々きっとこの辺の納まりに気を遣ったのだろうと想像しながら設計図を眺めていると時間を忘れてしまうほどであった。

現在CAD技術が発達しているが、完成レベルの設計図でさえも断面図に省力化が多く見受けられる状況であったり、総合図は施工業者が描くのが当たり前だと勘違いしている設計者が多い今日、設計業務の原点を見たようで非常に感銘を受けました。意匠、デザイン先行よりも各必要事項をいかように納め、使いやすく、機能的に、安全に美しく形づくるのが「設計」であると頑なに実感した次第です。

入館料の¥500-(大人)を考えるとたいへん良心的であり、必見の資料がたくさんありました。

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