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January 10, 2005

◆映画「ターミナル」でみる建築職人の技

スチーブン・スピルバーグ監督の映画「ターミナル」を観てきました。自国クラコウジアのクーデターにより空港で足止めを食らってしまった主人公ビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)が何とか自分の約束を果たすため空港で米国への入国許可を待ち続ける。英語がほとんど話せない状態でしたが、様々な工夫を凝らしてお腹を満たす術を考え自分の出国許可を応援してくれる仲間達を確保していく物語です。

そこで最終的に主人公の身を助けたのが、彼の建築職人たる腕前です。改修の為閉鎖中のNo68ゲートロビーを滞在の場所とし住みやすくしていきますが、途中その腕を建設会社の親方に認められターミナルの中で仕事を得てしまいます。ひとめ惚れしたスッチー(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)にも自分が改装したきれいな噴水広場を見せて心をつかみます。建築に携わる者としては、なかなか嬉しいストーリー展開です。

でも、この主人公は多機能工でちょっと出来過ぎな腕前ある。一般的には建築工事の場合、映画のシーンの様な噴水の内装改修工事は、建築系職人でも斫(はつり)工、土工、大工、左官工、防水工、ボード工、塗装工、タイル工が必要であるし、衛生設備工、電気設備工の腕も必要である。そう考えると少なくとも10種以上の職種の技術を持った腕前が必要です。仮にその腕前をすべて持ち得たとしても一人で工事を終わらせるには壁の面積が約20㎡くらいでしょうから、1日中続けて働いたとして少なくとも2~3週間はかかるでしょう。ちょっと映画で設定のスッチーとの再会する期間内では実際には工期オーバーしてしまうかもしれません。

一般的に建築工事の場合、少しのエリアを改修する時でも特に水周り等を含み場合は多くの職種の作業員や専門家が関与します。その辺が建築工事の長所であり短所であり醍醐味であるわけですが...。映画の主人公が噴水の壁をつくり上げるのにもっといろんなヒトと協力し合い苦労してつくり上げる過程のストーリーであったら、もっと素敵な映画になったのではと感じました。

スケールが違いますが、最近竣工した銀座のシャネルビルの外構には建築工事に携わったヒト達の名が刻み込まれた強化ガラス板が、銀座中央通り側に埋め込まれています。大胆な外装や随所にコダワリのあるディテールでつくりあげた関係者の意気込みや気概が感じられます。デジタル化社会だからこそ、いいものを協力してつくりあげる協調性や職人気質の「ものづくりの気持ち」を大切にしていきたいものです。

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